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レビュー/エスクワイヤ 16/2002.2 零度のアウラ――田中隆博の白い部屋
田中隆博の作品について語るのは難しい。そこには、意味ありげな主題もなければ、個性的な語り口もない。彼はただ、機械のように精確な目と化して、無表情な世界の細部を見つめ、写し取り、作品化するだけだ。しかし、そのすべてのプロセスが徹底して厳密に行なわれるので、作品からは「零度のアウラ」といったものが立ち上ってくるのである。 たとえば、ドア・ノブの写真の左手の壁には、白い印画紙――いわば「零度の写真」が一点だけ展示されているのだが、その写真の中央には、ほとんど見えるか見えないかという極細の切断線が走っている。そして、ドア・ノブの写真の右手の壁には、それと対応して、やはり白い印画紙がこんどは二点展示されているのだ。これらの作品のほとんど戦慄的とさえ言ってよい冴え冴えとした迫力は、こんな記述では絶対にわからないだろうし、写真図版でもほとんど伝わらないだろう。それを体験するには、実際にこの白い部屋の中に立つ必要がある。だが、それは、これらの作品が、ある意味でもっとも正統的な美術作品であることの証しではないだろうか。
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